ドラゴンティアーズ 龍涙/石田衣良

石田衣良の”IWGP”(池袋西口駅前公園)”シリーズの第9弾です。

池袋のストリートで、果物屋兼ライターとして生きる真島誠には今日も様々な相談が持ち込まれます、

今回は、悪徳エステ、ホームレスを食い物にする建設会社、出会い系サイトにとらわれた少女、ブラック工場から逃げてきた中国人…。

今回も、いろんな事情で、困っている人を知恵と人脈を使って何とか解決していきます。

相変わらず貧乏で、損な役回りを減らず口を叩きながら、解決していくマコトがいます。

また、事件の中から、現代日本の”底辺”が透けて見えてくるのも、このシリーズの見所です。

収録された2話目の『家無き者のパレード』では、単にホームレスの悲哀を描くのではなく、”日雇い派遣業界”や”従事者”の抱える問題点、一時期話題になった”日雇い派遣”そのものの在り方をあぶり出していきます。

池袋のホームレスたちが襲撃される事件が連発し、ボランティア団体から解決を依頼されたマコトは、襲撃されたホームレスたちが”あぶれ手帳”という日雇い労働者の社会保障用の手帳が奪われている事に着目します。

そこには、労働者を雇う建設会社が仕掛けた、弱者が弱者を”喰う”という凄惨な”事情”がありました。

やがて、ホームレスたちを結集させ、悪徳建設会社と対決する事になるのですが、この話の裏側にあるのは、その『弱者同士が喰らい合う』という貧困の現場で起こっている現実です。

IWGPシリーズは、主人公マコトの壮快な活躍と、現代社会の”闇”が交差する”リアル”があるのです。

それが、第9作まで続いている理由なのかもしれません。