少女の旅と復讐「ベティ・ザ・キッド」

本作は、「魔術士オーフェン」で有名な秋田禎信先生の小説です。

一応ライトノベルですが、いざ読んでみると、全く軽くないのが、秋田先生らしいところ。

むしろ、どこまでも非情で容赦ない世界が、淡々と書かれています。そして、その中にある、小さいけれど確かな希望も。

舞台は、西部劇を思わせる砂漠の世界。

若いけれど腕利きの賞金稼ぎ・キッドの正体は、十七歳の少女ベティ。

彼女は一年前、保安官の父親殺しの濡れ衣を着せられ、逃亡していました。男装し正体を隠して、父の仇ロングストライドを追っています。

彼女を影のようにサポートするのは、青年ウィリアム。恐ろしいほどの銃の腕を持ち、どこか浮き世離れした彼にも、訳ありの過去があります。

そしてもう一人、先住民の血を引く少女・フラニーも、大切な仲間。バラバラな三人が集まり、不思議な家族のように戦車を駆って旅をしています。

賞金首や先住民は容赦なく殺され、隙を見せれば利用される。

そんな非情な世界でも、お互いが確かな存在になっていきます。個人的に、ウィリアムとベティの、何とも言えない関係がツボです。どこか壊れた感性のウィリアムが、ベティの為に人間であろうとするのが……。

旅はやがて、世界の秘密に近づいていきます。謎の組織や敵が入り乱れる中、ベティは父の仇を討つことが出来るのか。

どこまでも、大義ではなく自分の理由の為に行動する人物達が、秋田作品らしくて好きです。