『祝山』で怪異の疑似体験

『祝山』は筆者、加門七海の実体験がベースになっているホラー小説です。

実体験そのままの方は、加門七海のエッセイの方に詳しく載っていますがこちらはあくまでフィクション。それなのに、妙なリアルさがあります。

ある日主人公のホラー小説家、鹿角は友人から相談を持ちかけられる。

肝試しにとある山に訪れてから、周辺で奇妙な事が続くと言うのだ。

次回作に行き詰っていた鹿角は何かの切っ掛けになればと友人とその友人達…肝試しに行ったメンバーからその話を詳しく聞く事になるが。

一人が事故死したのを皮切りに、本格的に怪異に巻き込まれていく肝試しのメンバー達。

いつの間にか、第三者のはずだった鹿角の元にも死者からメールが届いたりと自身も怪異に巻き込まれていく。

この小説が妙なリアルさを持っている理由は、恐らく筆者自身が赤裸々に自分の感情を語っているから。

口が悪い私でも(口が悪いなぁ…)と思う程、主人公の口が悪い。

けれど、考えてみると怪異に取り囲まれた状況でお上品な口なんてとてもじゃないけど聞けそうにはありません。

他の登場人物達も同じ、きっと大多数の人は恐怖にかられたらこんな行動をとるんだろう…。

そう思えてしまう程、きっとこれを読んでいる貴方にも覚えがあるパニックや恐怖に対するリアクションを彼らはとるのです。

そして、いつしか読者の私達まで鹿角と同じく怪異に引き込まれているかの様な感覚に…。

怪異を疑似体験できる特殊な小説。平和な日常に飽きてしまった方、お勧めです。