その可能性はすでに考えた。

その可能性はすでに考えた。そのセリフを言ってくれる探偵さんのお話です。探偵さんには奇跡というものを信じている理由があり、その奇跡というものを証明するための戦いをずっとしているというお話です。

奇跡が起きたという可能性のある事件。それが探偵さんのもとにもたらされると、探偵さんはひたすらトリックの可能性をつぶし、奇跡であるという証明をしようとします。

そういう意味では探偵にあるまじき姿をしているのが主人公と言えます。コナン君とかはトリックを暴くわけですから全く逆ですもんね。

そして、いろんな人間がトリックであるという説を持ち込む。持論を展開する。その時に発せられる探偵さんのキメ台詞が「その可能性はすでに考えた」です。

この探偵さん、本当にすべて反論できるのかという期待感、持ち込まれるトリックのえげつなさや、殺人という悪意への反論もしてくれる探偵さんへの感情移入がすごく出来る作品です。もう普通に好きになりました探偵さん。

そして、なぜ、こんなに奇跡にこだわるのかや、なにと戦っているのか、事件の結末へと読み進めていくうちに涙が止まらなくなりました。

こんなに優しい結論になるんだという思いで、私はとても感動しました。拷問やカルト宗教、途中までは気持ち悪い作品を買ってしまったと思っていましたが、ラストの結末にすごく心が癒されました。そして、辛くもあったのですが、それでも読んでよかった。ミステリにありがちな読後の嫌悪感みたいなものがないいい作品でした。