自伝「たけしくん、ハイ!」でほっこりとする

言わずと知れた北野武さんの子ども時代を書いた自叙伝です。まだ、日本が豊かになる前のことですし、現代人の生活風景とはかなり違います。でも、親子の愛をひしひしと感じることができるほのぼのとした本です。

たけしくんのお父さんはペンキ屋さんです。当時はまだ少しばかりばかにされることもあったお仕事のようで、親の手伝いに行く途中友達に会うと嫌だったとあります。当のお父さんも、戦後に不本意ながらついた仕事でした。そして貧乏な生活。こういう苦労をしてきたから、今の北野武さんは毒舌ながらも弱い人に優しいところがあるのかなと思いました。

すこし卑屈になってしまうお父さんが、飲み屋で仲間と交わす会話が好きです。たけしが酔っぱらったお父さんを飲み屋に迎えに行くと、「兄貴はどうした」と言われます。たけしが「大学から帰ってこねえ」という。父は「大学から帰ってこねえ?」と繰り返す。飲み仲間が息子が大学に言ってるなんてすごいねえ、とほめそやすのです。これが定番の会話。照れ屋のお父さんは、こうして息子の自慢をするのです。周りも温かくそれを受けてあげる。人情があっていいなって思います。

まだまだいっぱいいいエピソードがあります。とにかくほっこりしたいときにうってつけの本です。