『ツ、イ、ラ、ク』で思い出す小中学時代

ローカルな地域の中学校の、女子学生と先生の恋愛を中心に描かれた群像劇です。

この小説の中で描かれている小学校や中学校の様子は、田舎のほうで育った人なら「あるある」と思うのではないでしょうか。小学校から同じ中学校に進む子が多く、とくにつき合いがなくても顔見知りがいっぱいいて、誰が誰のことを好きとか、そういう噂がすぐに広まってしまう環境です。

ヒロインは周りの子と一緒にいるよりひとりでいるほうが好きな子で、だいぶ大人っぽい子です。人気者ではないですが無視されているわけでもなく、異性からの人気はけっこうあります。 

こういう子が、同年代の男子に恋するわけがなく、作者の姫野先生も書かれているとおり、精神的にはこの先生くらいの人でちょうどいいのです。でも出会うのが少し早かったゆえに別れることになります。

この2人をめぐる、同級生達やその他の周りの人達の反応も小説のポイントのひとつです。2人以外のわき役の子達についても、しっかり個性がわかるように描かれていて、その他大勢という扱いではないところがいいと思います。

ラストはさすが小説という感じで、その後どうなるのかなという余韻を強く残して終わります。

この小説の関連の短編小説集『桃』もあわせておすすめです。